2012年3月12日月曜日

デザイン | VISUALECTURE

というか、今からその実習をあなた方にしていただきたいと思います 皆さん、厚紙と一枚の紙を持っていますよね たくさんの円のある それを裏返して 裏面は真っ白になっているのでその面を使いましょう 鉛筆もありますよね 次に隣に座っている人を選んで 私が「ゴー」と言ったら30秒以内にその人を描いてください。大丈夫ですか? 準備はいいですか? OK, ゴー 30秒以内ですよ。速く、速く ほら、傑作を描いてくださいよ OK? ストップです。それじゃあ

(笑)

はい、笑いが起きていますね。いいですね 大きな笑いが起きていますね。ちょっと恥ずかしいでしょう?

(笑)

「ごめんなさい」もいくつか聞かれますかね?いや、絶対「ごめんなさい」って聞こえてきますよ はい、はい、やっぱり聞こえてます そして、大人に対してこの実習をするときには いつも必ず起こる現象です そしてマッキムが学生と実習をしたときにも、これが起きました 彼も全く同じ反応を目にしました:非常にたくさんの「ごめんなさい」です

(笑)

彼がこれによって示したのは 私達は仲間からの判断を恐れ また、私達の周りの仲間に自分自身のアイデアを 話す事を恥ずかしく思ってしまうという事です そして、その恐れは私達の考えを 保守的なものにしてしまうのです つまり、私達はどんな突飛なアイデアを持っていても それを他の人たちと共有することにおびえてしまっています

ところが子供たちを相手に同じ実習をしてみると 子供たちは何も恥ずかしがりません 子供たちはとても楽しそうに描いた傑作を 周りの人みんなに見せるのです しかし、彼らが大人になるにつれて 彼らはより他人の意見に敏感になってしまい その自由を失い、恥ずかしがるようになるのです 子供の遊びについての研究で 安心できて、そして信頼できる 環境に置かれた子供たちは より自由に遊ぶということが繰り返し示されています

つまり、たとえばもしあなたがデザイン会社を設立するとき あなたはもちろんそのような安心感のある 職場環境をつくりたいですよね リスクを冒しても大丈夫という安心感があること おそらく、遊んでもよいという安心感もです

IDEOを創設する前に、デイビッドは全ての従業員が自分の親友である という会社を設立したいと言っていました それは決して、わがままなものではありません 彼は友情が遊ぶことへの近道だと知っていたのです そして、その友情が私達に信頼感をもたらし デザイナーとして冒さなくてならない創造的なリスクを 冒すことを容易にしてくれるのです 友達と一緒に働くという決断でIDEOは始められたのです その友達も今では550人になりました

私達のスタジオや、他の多くの創造的な職場は そこに働く人々がリラックスできるようにデザインされています 慣れ親しんだものに囲まれ 共に働く同僚と快適に働ける それは装飾以上のものであり クリエイティブな会社は多くの場合、遊ぶことを皆に思い起こさせる シンボルを職場に持っており 寛大な職場環境になっています たとえばIDEOの建物内の マイクロバスの会議室であったり ピクサーのアニメーターの職場にある木造の小屋や装飾された小部屋 もしくはGoogle本社は ビーチバレーコートや このピンクのフラミンゴの乗った大きな恐竜の骨格がある事で有名ですね ピンクのフラミンゴの意味は全然わかりませんが… でもとにかく、Googleの中庭に置いてあります スイスのGoogleには たぶん最も変ちくりんなシンボルがあります スイス支社の人たちは カリフォルニアの同僚に 自分たちはつまらなくないんだと示そうとしているんだと思います スイスGoogleには滑り台も、消防署のような滑り棒もあります それで何をするか分かりませんが

このような場所にはすべて、シンボルがあるのです そして、IDEOのシンボルは 場所というより、物です これは私達が2,3年前に発明したというか 創ったものです それはおもちゃです。フィンガーブラスターと言います 私は持ってくるのを忘れてしまったので どなたか、そこの席の下にあるものを取っていただけますか そこに何かがテープで留めてあります それです。もしそれを私に渡してくれたら… ありがとう

そう、これがフィンガーブラスターです。皆さんの椅子の下にも テープで留めてあります これからもう一つちょっとした実験をしてみたいと思います でも始める前に、私にこれを着けさせてください ありがとう。大丈夫 では、今から私がするのは… これ着けてたら見えないな。おっ見えた この部屋のどれだけの人が ステージまで飛ばせるか見たいのです フィンガーブラスターの使い方は これに指を入れて 後ろに引いて、放すだけです 後ろを振り向かないようにおすすめします どれだけの人がここまで飛ばせるでしょう? さあどうぞ。いい感じ、いい感じ。ありがとう。ありがとう あっ!いいこと思いついた。こうしたら……いい感じだね

(笑)

いいね

(笑)

ありがとう。ありがとう 悪くないね。今のところ死傷者は出ていません

(笑)


あなたの家の価値を高める方法

まだ後ろの方から飛んできてますね まだ、ステージまで飛んでくる まだ何人かは発射してないですね 発射の仕方がわからないなんて事は無いですよね そんなに難しくないですよ。大抵の子供たちは 手に取って10秒ほどで使い方をマスターしますから これはかなり良いね。本当に良い感じです じゃあ。それじゃあとりあえず 少し片付けておかないと 踏んで転びそうです よし大丈夫。まだ持っている人は 私が何かつまらないことを言った時に 発射してください

(笑)

眼鏡はもういらないですね これを着けているとほんとに前が見えにくくて、よし大丈夫だ はぁ、楽しかった

(笑)

よし

(拍手)

なぜこれが必要なんでしょう? 私達はフィンガーブラスターを持っていて、他には恐竜がいる なぜこのようなシンボルが必要なのでしょうか? なぜなら私達は遊ぶ心は重要だと考えているからです ではなぜ重要なのか? 正直に言って私達はそれを実用的な形で用いています 私達は遊ぶ事でより創造的な解決法を見いだす事が出来ると考えています 私達の仕事をより良くし 仕事するのを快適にしてくれるのです

大人が新しい状況に直面すると… 私達は新しい状況に直面したとき 出来るだけ早くそれを分類する傾向にあります そして、それにはある理由があります。私達は答えを見出したいのです 人生は複雑であり、身の回りに起こっている事を 素早く理解したい 私が思うに、進化生物学者はおそらく 人間がなぜ物事をこんなに 分類したがるのかという理由を多く知っているでしょう その理由の一つとして 縞模様のものを見たら それは自分に襲いかかって殺しにかかっている虎か 木のただ面白い形の影か そのような事をすぐに判断しなくてはなりません かつてはそうでしたが 私達の多くはもうそんな事はしなくてもいい

これはアルミホイルですよね。台所で使うもの そういうものですよね。もちろん でも、必ずしもそうでないんです

(笑)

子供たちはより広い可能性を見いだすことが出来るのです 彼らが新しいものに出くわした時は 確かに「これって何?」という疑問を持ちます しかしそれだけでなく、「これで何ができるんだろう?」とも思う より創造的な子供は もっと興味深い使い方にたどり着くでしょう この開放性が探索的な遊びの始まりなのです 幼いお子さんのいる方は?何人かはいらっしゃるでしょう ほら。ではご覧になっているでしょう?

クリスマスの朝に、私達の子供が もらったおもちゃより、最終的に それが入っていた箱でより楽しんでいることがあります 探索的な観点から この行動は、完全に理にかなっています おもちゃよりも箱の方が多くの遊び方が出来るからです 「くすぐりエルモ」のようなおもちゃは その精巧さに関わらず、出来ることは一つだけです 一方で箱で遊ぶ方法は幾通りもあるのです これもまた、私達が大人になるにつれて 忘れてしまい、学び直さなくてはならない遊びの一つなのです

ボブ マッキムのもう一つのお気に入りの実習は 「30の円テスト」です もう一度作業に戻りましょう。もう一度実習を始めますよ さっきスケッチをした紙を裏返してみると 30個の円が紙に書いてありますよね こんな風な紙を持っているはずです 私が今から皆さんに時間を与えますので 出来る限り多くの円を 何かに変えてほしいのです 例えば、サッカーボールにもできますし 太陽にだって変えられます。質より量です これから少し時間をあげますので 出来るだけ多くの円を変えてください 皆さん準備はいいですか?では、始め

はい、鉛筆を置いてください では、5個以上できた人は? おそらく皆さんでしょう。では10個以上? 10個作った人は、手を挙げてくださいね 15個?20個?30個全部の人? うおっ!出来た人がいますね。素晴らしい 何かのテーマに沿ってやった人は? 例えばニコニコ顔に 喜んだ顔、悲しい顔、眠たげな顔と言う具合に…誰かいますか? 私の例を使った人は?太陽とかサッカーボールとか? 素晴らしい。ここでは量が重要で 実際1つ1つが違っていることは求めていません 出来るだけ多く円をただ埋めてほしかっただけなのです 大人になってやるようになるのは、編集です 自分で何かするのを止める アイデアが浮かんでも自己検閲してしまう

そして、多くの場合、私達がオリジナルでありたいと思う願望も、実際はその編集の一端なのです 実際これはそんなに遊びのように見えないかもしれません 頑張ってやってみて、多くのことを 例え互いにそう違ったものでなくても 探求するという能力は子供たちの長けている点で、それは一種の遊びなのです さて、ボブ マッキムは1960年代に これの別バージョンで 少し有名な実験を行いました これが何だか分かりますか?これはペヨーテサボテンと呼ばれる植物です この植物からはメスカリンと呼ばれる 幻覚作用をもつ成分が抽出されます 60年代を知っている方ならご存知でしょう


食品着色料のうち茶色の色を作る方法

マッキムは仲間と共に行った薬物の創造性への影響に関する 実験について 論文を1966年に発表しました 彼は様々な分野の専門家27人を選びました エンジニア、物理学者、数学者、建築家 家具デザイナー、アーティストなどです ある晩に彼らを集め 彼らが取り組んでいる課題を持ってきてもらいました マッキムは被験者にメスカリンを与え 少しの間、リラックス出来る音楽を聞いてもらいました そこで彼はいわゆるパーデュー クリエイティビティ テストと呼ばれるテストを行いました 例えば、ペーパークリップの他の使用法をいくつ考えつくか?などです 先ほど行った、「30の円テスト」と基本的には同じテストです

彼は、薬物服用前と 服用後にそれぞれテストを行い 被験者の アイデアの発想力とスピード違いを調べました その後、彼らに 持ってきた課題に取り組むように言いました 彼らは自分の課題に対し興味深く 同時に有効なアイデアを たくさん思いつきました 彼らが思いついたことの 例をいくつか挙げましょう 新しい商業ビルと住宅のデザインは実際にクライアントに 受け入れられました 太陽探査実験のデザイン 線形電子加速器のリデザイン テープレコーダーの技術的改良 少し昔のことだと分かりますね 家具の生産プロセスの設計 光量子における新しい概念モデルに至るまで この夕べは大成功でした

もしかすると、この実験はシリコンバレーがイノベーションによって 躍進したことに関係があるのかもしれません 誰も分かりませんが CEOたちにこの実験に 参加したかどうか聞かなくてはいけませんね しかし、ここで薬物自体は重要ではありません 薬物はただ 彼らが普段の考え方から抜け出す助けをしたのです そして、アイデアの発想を邪魔する 大人の振る舞いを忘れさせたのです しかし、私達の習慣、つまり大人の習慣を変えることは非常に難しいものです

IDEOでは、私達はブレインストーミングのルールが壁に書いてあります 例えば、「判断を控える」であるとか「量を求めよ」などです 変に見えるかもしれません 創造性にそもそもルールなんてあるのか? しかし、古いルールや規範が 私たちの創造プロセスに入り込むのを防ぐためには ルールが必要だということが分かりました 私達が学んだのは ルールに沿って遊ぶことで ブレインストーミングも創造的な結果も、ずっと良いものになるということです もちろん、多くのデザイナーは もっと緩やかな形でこれを行っています

実験ということに関してイームズは素晴らしい例です 彼らは長い間、はっきりとした目標を持たずして ベニヤ板で実験を繰り返しました 彼らは興味深いと思うものを探求してきたのです 彼らは第二次世界大戦か朝鮮戦争時の 負傷した兵士のための添え木をデザインした経験から 椅子へと着想を移していったのです

素材の実験を絶えず続ける中で 私たちが今日知っている独特な製品を広く開発し 最終的には、あの伝説的な― ラウンジチェアを生んだのです もしイームズがその最初の素晴らしいアイデアに満足してしまっていたら 私達は今日の多くの見事なデザインの 恩恵を得ることが出来なかったでしょう そして、彼らはどんな場面でも実験を用いました 建物から映画、グラフィックスからゲームにいたるまで それらは、デザインにおける探索と実験の 実例そのものです

イームズは、ああいった可能性を探索していた一方で 物質的なものも探索していたのです プロトタイプを組み立てることで常に探索をしました そしてこの組み立てるという行動について、次にお話しします ヨーロッパの平均的な1年生は 遊び時間の50%を 何かを作る遊びに費やします 作る遊びというのは、もちろん遊びですが 同時に学習において非常に有効なツールです 積み木でタワーを組み立てるとき 子供はタワーについて多くを学びます 崩しては作り直すのを何度も繰り返す中で 遊びの副産物の様なものとして学習が行われます それは典型的な行動による学習なのです

さて、デザイナーが この行動をとるとき、デイビッド ケリーは「手で考えている」と言います そこでは通常完成度の低いプロトタイプを 短時間にたくさん組み立てます 手元にある要素を継ぎ合わせることで たびたび解決法にたどり着くのです 彼の最初のころのプロジェクトの一つで、チームは行き詰まり 彼らはロールオン式のデオドラントから プロトタイプを作り出しました そして、それはAppleのリサとマッキントッシュの 最初の商用のマウスとなったのです


フィット帽子をきれいにする方法

彼らはプロトタイプにより、このデバイスを生み出す方法を思いついたのです その他の例として、外科医と共に 手術器具の開発に携わったデザイナーのグループです 彼らは外科医たちと会って、外科医たちに この器具に何が必要か尋ねました 一人のデザイナーが部屋を出て行き ホワイトボードマーカーとフィルム容器 ――今ではかえって希少な素材かもしれませんが その二つと更に洗濯バサミをテープでくっつけ 「こんなようなものですか」と聞いたのです そして外科医はそれを手にとり 「私はこれをこうしたいんだ、もしくはこんな感じ」 手に取れるものを巡って 急にデザインについての生産的な会話が活発に行われるようになったのです そして最後には実際に医療器具となったのです

この行動は素早く何かを実際に作ってみて 結果として考えを前進させるのです IDEOの職場環境には幼稚園に戻ったような 雰囲気があります プロトタイピングの道具箱には色のついた紙や 粘土やスティックのりとかでいっぱいです つまり、それらは何かしら幼稚園の感覚を生み出すのです しかし、重要なのは全てが手の届く位置にあることです デザイナーがアイデアを練っているとき いつでも何かを作り始めることが出来るのです それらは必ずしも ちゃんとした作業部屋に行く必要はないのです 私達はこれがとても重要だと考えています

しかし悲しいことに 幼稚園ではこのような道具でいっぱいなのに、教育システムを進むにつれて それらは無くなっていくのです 遊び形式、組み立て形式の考え方を 促進するこれらの道具を、子供たちは失ってしまうのです そうして、平均的な職場に就く頃には 私達にとって一番いい作るための道具は Post-itノートになるのでしょう。これは味気ない プロジェクトチームとクライアントが一緒になって 手で考えることによって 複雑なアイデアでも輝きだし より容易に結果として生み出されるのです

この看護婦さんは、見て分かるように簡単な粘土のプロトタイプを作り 病院で彼女と共に取り組む 技術者とデザイナーのチームに 携帯情報システムに望むものを説明しています このシンプルなプロトで 彼女が望むものをとても説得力のある形で話せるようになったのです 素早くプロトタイプを組み立てることで 言葉で説明するより遥かに効率的に 消費者やユーザーと私達のアイデアを テストすることが出来るようになるのです

では、物質的でないものをデザインする時はどうなのか? 例えば、サービスであったり、エクスペリエンスや 長時間にわたる一連のやり取りなどはどうでしょう? 組み立てる遊びのかわりに、ロールプレイをすることで取り組むことが出来ます 例えば、ファストフード店で注文をするという 2人の間の相互関係をデザインする場合 そのエクスペリエンスは時間の経過の中で どのように感じられるかを想像する必要があります これを実現し、デザインに存在する 欠陥を経験するには、ロールプレイするのが最善だと考えています

IDEOでは多くの仕事で このやり方をクライアントに認めてもらっています 彼らはすこし懐疑的ですが、それは後に話しましょう しかし私が思うに、人々が難題に立ち向かっている環境でこそ その試みの価値生まれるのです 例えば、教育、セキュリティ、金融、医療などが挙げられます これは、ヘルスケア分野における別の例ですが 患者に対するサービスにおいて 医者と看護婦、そしてデザイナーが実際に演じています しかし、大人の多くは ロールプレイにほとんど気乗りしません 恥ずかしさのためもあるし これを通して、浮かび上がる事実が有効であると信じていないからでしょう ロールプレイだからそうなっただけだと言って 興味深い相互作用を否定してしまう

子供の行動に関する研究は ロールプレイに真剣に取り組むことが重要であることを示しています 子供たちが役を演じるとき 彼らは大人から学び取った社会的な台本に 忠実に従って振る舞います 一人が「お店ごっこ」、もう一人が「ままごと」をしていたら この遊びは失敗に陥りますが 彼らはすぐに 社会的な相互関係のルールを理解し それらが崩れた時にはすぐ指摘するのです

私達大人がロールプレイするときには 既に吸収している膨大なスクリプトを持っています 私達は人生において色んなことを経験しています その様々な経験から私達は相互関係がきちんと 成り立つかどうかを直感的に知ることが出来るのです 解決策を演じてみるとき 私達は欠けている何かを見つけることに長けているのです つまり、ロールプレイとは エクスペリエンスについて考える際にその価値を発揮します 私達デザイナーがロールプレイで探索するもう1つの方法は 自分たちのデザインしているエクスペリエンスの中に身を置いて 自ら体験するということです

これはデザイナーが飛行機内の 限られたスペースで寝てみるとどのように感じるか 理解しようとしています 見ての通り単純な材料しか使っていません このようなとても大雑把なロールプレイによって 乗客が飛行機の狭い場所に 詰め込まれた時に、どのように感じているのか知ることができます


IDEOのデザイナーであるクリスチャン シムサリアンは 救急医療室の患者の体験を自身で経験しようとしています ここは本物の病院の本物の救急医療室です 彼がこの大きめのビデオカメラを 持った理由の一つとして 彼は医者と看護婦に 自分が本当に病気だと思われ、変なものを突っ込まれて 後悔したくはなかったからです 何にせよ彼はビデオカメラを持ってあの場に行き その持ち帰った映像を見てみると興味深いものでした なぜかというとその映像には 20分間この状態だったからです

(笑)

このビデオが素晴らしいのは 見ればすぐにこの体験に 身を置くことができることです 病院の廊下で待たされて 部屋で医者が別の緊急を要する 患者に対処している間に いったい何が起こっているのか不安を感じることも分かります ロールプレイというのは このケースでは実体験していますが、共感を生み出す方法として とても強力です 特にビデオを使えばとても効果的です

IDEOのデザイナーの オルテイ センディルが ワックスによる胸のむだ毛処理をしていますが これは長期療養者が包帯を取るときに感じる痛みを 共感するために行ったのです そしてこのような実体験や ロールプレイはとても有益なのです

例えば子供が消防士の格好をすれば そのアイデンティティに近づこうとします 消防士になったらどんな風に感じるか知りたいのです デザイナーとして私たちも同様のことを行ない このような体験を試してみます つまりロールプレイとはプロトタイピングのためのツールというだけでなく 感情移入のためのツールでもあるのです IDEOでは彼らのような仲間を賞賛しています 彼らが体験についての洞察をもたらしてくれるからだけでなく 彼らの探索したいという意欲や 意識せずに自分たちの身をその体験に 任せることができる能力があるからです つまり私達は彼らの遊ぶ意欲を賞賛しているのです

だから遊びのような探索、組立て、そしてロールプレイというのがありますが これらはデザイナーが仕事において用いる遊びなのです ただ外に行って子供のように遊びなさいという メッセージに聞こえてしまうかもしれませんし ある程度その通りですが、しかし言いたいことが2つほどあります 一つ目は遊びは無秩序ではないということ 遊びにはルールがあり、特にグループでの遊びではそれは重要です 子供がおままごとをしたり、ドロ警(泥棒と警察に別れてする遊び)などをするとき 彼らは同意した規則に従って遊んでいます このルール作りの過程が生産的な遊びにつながるのです

最初にスケッチの課題をしましたね? 隣の人の似顔絵の課題です パブで飲んでいて友達とそれと同じ課題をすると 想像してみてください でも今度は、一番下手だった人が次にみんなが飲むお酒を おごらなくてはならないというルールにみんなが同意したとします そうするとこのルールによって恥ずかしくてやりにくかった課題が 楽しいゲームに変わってしまうのです 結果として、みんなが完璧に安心できる状態で楽しい時を過ごせるのですが それは私たちは皆ルールを理解して、それに同意をしたからです

どのように遊ぶかについてのルールだけでなく いつ遊ぶかというルールもあります 子供たちはずーっと遊んでいる訳ではないですよね 彼らはオン-オフを使い分けます 良い先生は、どう子供達にこの切り替えをさせるか と考えることに多くの時間を費やします デザイナーとして、私達もそのオン-オフをしなくてはならないのです 例えばデザイン会社を運営するときに どのようにしてデザイナーに さまざまな体験を切り替えさせるか考え出す必要があります これが特によく当てはまると思うのは…

私が思うにデザインが他と違っていることは この全く異なる2つのモードを使い分ける必要があることです たくさんのアイデアを探索する 生成的な段階と それらをつなぎ合わせて そこから解決策を探しだし 発展させる段階です これら2つは全く異なる段階です つまり発散と収束です おそらく発散段階では 遊びが必要とされています 収束段階では真剣さが必要です この二つの段階を行き来できることが より重要なのです。つまり、意味合いの少し異なった 遊びに対する見方が必要なのです

なぜならこれら段階は独立したものだと考え 「遊びか真剣、同時には出来ない」と考えてしまいがちです しかしそれは少し違います。私達は真剣なプロの大人でありながら 「同時に」、遊び好きになることが出来ます それは、「もしくは」ではなく「かつ」であり 同時に真剣でもあり遊びでもあるのです まとめると、私達には遊べるという信頼感が必要であり かつ創造的になれる信頼感が必要で、この2つには関連があります 私達が子供のときに学んだ数々の行動があり それはデザイナーとしてとても役立つものだと分かりました その行動は量を求める探索 自分の手で組み立て、考えること そして、ロールプレイして演じることで 私達のデザインする状況に感情移入することが出来 つなぎ目のない確かな サービスや体験を作り出せるようになるのです

ありがとうございました

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